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東京高等裁判所 昭和51年(行コ)56号 判決

控訴人 森繁久弥

被控訴人 北沢税務署長

訴訟代理人 中島尚志 藤井光二 ほか二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人が昭和四五年一月三一日付をもつてした控訴人の昭和四三年分の所得税の総所得金額を六七、四三八、九六五円とする更正決定のうち確定申告にかかる金額三三、八四一、九八二円をこえる部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

控訴代理人は証拠として、甲第五号証の一、二を提出し、当審証人和久哲也、渡辺亨宥の各証言を援用し、被控訴代理人は甲第五号証の一・二の原本の存在及び成立は不知、と述べた。

理由

当裁判所も控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか原判決理由に説示するところと同一であるから、これを引用する。

原判決一四枚目表七行目に「証人和久哲也」とあるのを「原審ならびに当審証人和久哲也」と改める。

同一四枚目裏二行目から三行目にかけて「いわざるをえない。」とある次に「また、右証言によれば、控訴人及びその関係者は、昭和四四年四月を過ぎても控訴人の横山に対する債務の弁済及び本件土地の処置について横山との間になんらの交渉をもたず、同年七月頃被控訴人からの呼出しによつて、はじめて本件土地につき武田和喜子に所有権移転登記がなされていることを知るに至つたことが認められ、右の事実は、控訴人側に本件土地を売却する意思はなく、前記認定の契約が譲渡担保であつたとするにはきわめて不自然なことというべきである。」と挿入する。

同一五枚目裏一〇行目の「本件土地の」の次に、「横山に対する引渡しは昭和四三年中に行なわれ、その」と挿入する。

以上のとおりであるから、これと同趣旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。

よつて、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 外山四郎 篠原幾馬 鬼頭季郎)

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